もはやデリカしかない
かつて三菱には本格クロカン4WDの「パジェロ」、世界ラリー選手権用の「ランサーエボリューション」といった80~90年代のRVブーム、四駆ブームを象徴するワイルドなモデルがありました。しかし、今やどちらもなく、三菱らしさであり、独自のアウトドア性能を象徴するブランドはデリカしかありません。
デリカは今から55年前の1968年に初代デリカトラックとして生まれ、69年にワンボックスのデリカコーチが誕生、1982年から世にもまれな4WD仕様も選べるワンボックス・ミニバン系として貴重なブランドを築いてきました。
デリカはある意味、三菱が出したとっておきの手なのです。三菱には根強いアウトドアファンがいますが、彼らに訴求する今の武器は「デリカ」しかないのです。
事実、困った時のデリカ頼みではないですが、三菱自動車のラインナップには王道四駆ミニバンのデリカD:5の他に、日産NV200バネットベースの小型ミニバン「デリカD:3」と、スズキ・ソリオベースの「デリカD:2」があります。
三菱らしさであり、三菱ブランドをアピールする手法として「デリカ」の名をアレンジするのは実に3度目であり、4車種目なのです。
三菱自動車は、先日の決算において二期連続での好成績を示すことができましたが、その前のコロナ真っ盛りの2021年期は赤字でしたし、今の好調も円安だからこそ。根本的には自動車業界の変革期をどう生き抜くか精一杯のはず。
計算し尽くされた、あざとくも見えるデリカミニのワイルドキュート作戦ではありますが、再び伝家の宝刀であり、禁断の果実に手を出してしまった感もなくはありません。
困った時のデリカ頼みもそう何度は使えません。三菱自動車は抜本的な実力アップに取り組むべき時なのかもしれません。