結局、両親は「土地を買い取ってほしい」と懇願

父親は、「今までの話を白紙に戻す。もう少し時間をかけて考えたいので、家を出ることなども今はしない」と一方的に伝えてきたのだ。

自分たちを振り回し続ける両親に心から憤慨した上地さんは、下の子の「お宮参り」「お食い初め」。上の子の「七五三」など子供のイベントを、夫の両親だけ呼んで、自分の両親を無視して行った。新年には毎年実家に集まっていたが、姉に協力してもらい、上地さん家族は欠席。案の定、母親は怒り狂っていたという。

「私の両親自身がアダルトチルドレンだったのかもしれません。70歳を過ぎたいい大人なのだから、自分たちのことくらい自分たちで責任持って生きてほしいです。姉は、私たちには両親の介護で迷惑はかけないと言っていますが、そう言わせているのは両親でしょう。子供に依存し過ぎです。姉には申し訳ない気持ちでいっぱいです」

2023年2月。結局両親は、「土地を買い取ってほしい」と懇願してきた。そのお金で中古マンションを購入するという。上地さん夫婦はその申し出を受け入れることで、ようやく自分たち家族だけの平穏な生活を手に入れることができた。

社会人になって一度親元から離れてから再び親と同居することは、子供側の生活スタイルや価値観の変化などもあり、難しいことは予想がつく。それでも二世帯住宅なら、心理的・コスト的に同居と別居のいいところ取りができるのかもしれないと考えるのは自然なことだろう。しかしあくまでもそれは、“お互いの距離感が保たれているのであれば”の話。タブーのはびこる家庭で成立させるのは至難の業だ。

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