毒親だと気付いた瞬間

2020年1月。二世帯住宅建築が始まった。同じ頃、上地さん夫婦は第二子を望み、夏の終わりに妊娠。同年11月。完成した二世帯住宅への引越しは、妊娠初期の段階で無事完了した。両親には安定期に入るまで言わない予定だったが、かつて第1子妊娠中に体調を崩し、つらい思いをしていた上地さんは、早めに報告して、何かあったときに援助してもらった方が良いのではないかと考えた。だが、それは裏目に出た。

同居から2カ月経ったある日、悪阻つわりでしんどそうな上地さんを見た母親が、突然怒鳴り散らした。

つわりに苦しむ女性
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「具合が悪そうだけど、そんなの自分で何とかして! 私たちを頼らないで! こんな時に妊娠なんかして大丈夫なの?」

上地さんは、まさかの妊婦に対する容赦ない攻撃に怒りを覚えた。

「何それ。コロナ禍だからって妊娠しちゃダメなの? 迷惑ならこちらにはもう(両親の部屋に)来ません。娘ももう連れてこないけど、それでいいってことね!」

これに母親はひるむことなく、さらに猛反撃してきた。

「来なくても私たちは大丈夫ですから。迷惑をかけないで!」

カチンときた上地さんは両親の部屋にあった娘の写真やおもちゃなど、全てを自室に持ち帰り、母親と距離を置くことに。この日、それまでよくも悪くもなんとかやってきた共依存母娘の関係に修復不可能な深い亀裂が走ったのだ。

「コロナであろうとなかろうと、妊娠を否定されるのも驚きましたし、孫と会わなくても良いというのも腹が立ちました。ちなみに父は、第1子の妊娠報告の時も、第2子の時も無反応。第2子の妊娠について、友人や職場の同僚、義両親からは祝福されましたが、実の親にだけ祝福されなかったのです」

夫に話すと、「そんなひどいこと言われたの? 何で急に」と驚き、産褥期をどうするかは2人で考えていこうと決めた。上地さんはこの頃から、「自分の母は毒親なのではないか?」と考え始めた。