食品には「カロリー」が表示されている。これは何なのか。血糖値の研究者ジェシー・インチャウスペさんは「カロリーは発生する熱を測ったものにすぎない。同じカロリーでも、果糖と脂肪とタンパク質の作用はまったく違う。食品のカロリーは減量や健康の指標にはならない」という――。
※本稿は、ジェシー・インチャウスペ『人生が変わる 血糖値コントロール大全』(かんき出版)の一部を再編集したものです。
「カロリー」とはそもそも何なのか
もし、あなたがいまだにカロリー計算をしているのなら、摂取したり燃焼したりするカロリーのタイプについて、もっと理解する必要がある。
たとえばドーナツのカロリーを測りたいなら、次のように行う。ドーナツを乾燥させ、容器に入れて水槽に沈める。それからドーナツに火をつける(もちろん、本当だ)。そして、まわりの水が何度上昇するか計測する。温度変化と、水槽の水の量、水のエネルギー容量(1グラムを1度上げるのに必要な熱量で、水の場合は1カロリー)を掛けあわせれば、ドーナツのカロリー数がわかる。
だから、「このドーナツと、このギリシャヨーグルトのカロリーは同じだ」と言うとき、本当は「このドーナツと、このギリシャヨーグルトは、燃やしたときに水を同じ温度まで上げる」と言っているのである。
この装置は熱量計と呼ばれ、1780年に発明された。これを使って、あらゆるもののカロリーを測ることができる。蒸気機関車でおじいさんが火にくべていた石炭は、0.45キログラム(1ポンド)当たり、なんと350万カロリーにも達する(ゆっくり燃えて、たくさんの熱を出すからだ)。一方、500ページの分厚い本は、水を温めるのにたいして役に立たない。含まれるカロリーは、たったの0.5カロリーである(本はあっという間に灰になるし、その過程であまり熱を出さない)。
いずれにせよ、カロリーは発生する熱を測ったものにすぎない。