時間がない時に空腹を満たすには何を食べればいいのか。聖路加国際病院循環器内科医の浅野拓さんは「ナッツや高カカオのチョコレートは肥満の原因になる血糖値スパイク(血糖値の急上昇)を起こしにくく、ちょっとした栄養補給に最適だ。一方、甘い飲み物やゼリー系飲料は血糖値スパイクを招くのでよくない」という――。

※本稿は、浅野拓『健康寿命を延ばす「選択」』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

アミノゼリー
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「甘い飲みもの」には要注意

血糖値を上げる張本人は、糖質です。

ここで改めて糖質とは何かと言えば、炭水化物のうち食物繊維を除いたもの。炭水化物のうち、体内で分解・吸収されてエネルギーとして使われるのが糖質、体内の消化酵素ではほとんど分解されないまま腸に届くのが食物繊維です。

さらに、「糖類ゼロ」「糖類オフ」といった表記を目にすることもあると思います。糖類は糖質の一部で、糖質の最小単位である単糖類(ブドウ糖や果糖など)と二糖類(砂糖の主成分であるスクロースや乳製品に多く含まれる乳糖など)を指します。

糖類は、糖質のなかでもすぐに分解されて血中に入り、血糖値を上げるので、摂り方にはとくに注意が必要です。

なかでも、危険なのが甘い飲みものです。甘い飲みものというのは、糖類そのものを液体として飲むので、体内で分解するというプロセスがほとんどなく、ダイレクトに血糖値を上げます。そのため、血糖値スパイク(注)がとにかく起こりやすいのです。

(注)食後に血糖値が異常に上がる状態。食後高血糖とも言われ、脳梗塞や心筋梗塞のリスクになると考えられている。

だから、私は、甘い飲料は飲みません。スポーツドリンクや炭酸飲料、砂糖の入ったコーヒー・紅茶もそうです。飲みものを飲むのは、水分補給が主目的ですよね。そうであれば、わざわざ追加で糖を摂る必要はありません。ちょっとストイックに聞こえてしまうかもしれませんが、甘い飲みものは生きるために不必要なもの。不必要なものは選択しないというのも大事な選択です。