※本稿は、浅野拓『健康寿命を延ばす「選択」』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
自分の体質に合わせた健康法でリスクを「見える化」する
「きれいな花には棘がある」ではありませんが、おいしい食事には中毒性があります。だから、理性で抑制することが大事ですが、健康志向で、あれもダメ、これもダメとすべてを制限してしまうと、幸福度が落ちます。だから、ここでも、自分にとっての優先順位を思い返して、食とうまく付き合っていくことが大事です。
それともうひとつ、とても大切だと思っているのが、自分が今抱えている「リスク」を見える化することです。
たとえば、「炭水化物を減らしてダイエットをしたら○○(大きな病気)のリスクが30%減りますよ」と聞いて、ある人が、毎日の食事をおかず中心に変えて、主食をほとんど食べずに空腹に耐えて頑張っているとします。でも、その人はもともと痩せていて、その病気を10年以内に発症するリスクが最初から1%足らずだったとしたら……?
その努力にほとんど意味はありません。むしろ、痩せすぎてしまって、かえって健康によくない可能性さえあります。
健康に良いと言われていることも、全員がやったほうがいいとは限りません。
自分の置かれている状況――ハイリスクなのかどうか――や、自分の体質に合わせて、どんな健康法・予防法が有効なのかを選択することが必要です。
ですから、まずは自分の今のリスクをはっきりと知るところから始めましょう。
健康診断の結果から10年以内の心血管病リスクがわかる
生活習慣病をなぜ避けなければいけないのかと言えば、血管の老化(動脈硬化)を進めて、心筋梗塞や脳卒中といった命にかかわる重大な病気を引き起こしたり、全身に悪影響を起こしたりするからでした。
では、あなたは、動脈硬化が進んだ先にある心血管病(心筋梗塞や狭心症など)を10年以内に発症するリスクがどのくらいあるか、知っていますか?
ほとんどの人は知りませんよね。「え、わかるの?」と思うかもしれませんが、予測できるのです。