「タバコをやめたら」などのシミュレーションも可能

このツールの便利なところは、「何から改善したらいいのか」がわかるところです。

まず、現状を入力して結果を出しますよね。その結果、リスクが高いことがわかったとしましょう。そうしたら、「前の画面に戻る」をタップして、また入力画面に戻り、コレステロールを下げたらどうなるのか、血圧を下げたらどうなるのか、タバコをやめたらどうなるのかといったシミュレーションを行うことができるのです(厳密なシミュレーションではありませんが、簡単に傾向を把握するには問題ないと思います)。

たとえば、血圧を下げたときにいちばん発症確率が下がったとしたら、その人にとっては血圧を下げることがとくに大切だということ。診察室では、そうしたシミュレーションを患者さんと一緒にしながら、「まずは血圧から頑張ってみましょうか」などとお話ししています。

浅野拓『健康寿命を延ばす「選択」』(KADOKAWA)
浅野拓『健康寿命を延ばす「選択」』(KADOKAWA)

また、吹田スコアを見ていただくとわかるとおり、年齢が上がると、点数が高くなります。

そこで、「この状態を10年後までそのままにしておいたらどうなると思いますか?」などと言って、年齢を10歳プラスしてシミュレーションしてみることもあります。そうすると、リスクがやや上がったりするのですね。

そうやって結果を見ると、患者さんは「今から血圧を下げておかないと」「ちゃんと治療をしよう」などと前向きにとらえてくれます。やっぱり、リスクが見えると、モチベーションにつながるのでしょう。

【関連記事】
【第1回】結局は死に際で後悔することになる…「今はまだ大丈夫」と不健康を放置する人に医師が伝えたいこと
「野菜たっぷりなら良いわけではない」糖尿病患者にほぼ確実に不足している"ある食べ物"
「孤独は喫煙に匹敵するレベルで脳卒中の死亡リスクを高める」世界的精神科医が指摘する納得の理由
人間が病気になる原因は"2つ"だけ…名医が「自律神経・血管・腸」を重視する理由
「10万人の胃腸を診た専門医が警鐘」日本人の約5割が毎朝食べている胃腸に最悪の"ある食べ物"