自律神経研究の第一人者である小林弘幸・順天堂大学医学部教授は「免疫力を高めるためには、『自律神経』『血管・血液』『腸』のトライアングルが重要です」という。人体が「健康」という状態を作り出すために24時間365日途切れることなく果たしている、その驚くべき機能について、セブン‐イレブン限定書籍『自律神経を整える』から紹介する──。(第2回/全3回)

※本稿は、小林弘幸『自律神経を整える』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

細胞に必要な“栄養”と“酸素”を運ぶ「血液」

私たちが心身ともに健康でいるためには、いったい何が必要なのでしょうか。これについて少し考えてみましょう。

私たち人間の体は、約37兆~60兆個もの細胞が集まってできています。この細胞1つひとつが、それぞれの役割を果たして機能してこそ、健康を維持し元気な日々を送ることができます。

細胞1つひとつが機能するためには、十分な栄養と酸素が必要です。そして、全身の細胞に栄養と酸素を行き渡らせるために機能しているのが血液であり、血管です。

森の中でリラックスする女性
写真=iStock.com/west
※写真はイメージです

血液は免疫細胞も運んでいる

私たちは栄養と酸素を、食事と呼吸によって体内に取り込み、さらに栄養は腸で、酸素は肺で吸収し、それらを血液にのせて各細胞に運んでいます。新型コロナウイルスなどの病原体やがん細胞を退治する「免疫細胞」を運んでくれるのも血液です。

細胞の隅々まで質のよいきれいな血液が流れれば、十分な栄養と酸素が届けられ、すべての臓器が適切かつ十分に働き、免疫力も高まります。

また、体内に溜まった不要な老廃物を体外に送り出すのも血液の働きです。細胞を常にきれいな状態に整え、栄養や酸素を取り入れやすくするためになくてはならない重要な役割を担っています。

それにより、肌や髪の毛、爪なども美しく、見た目の若々しさも維持できます。