心身の健康を保つにはどうすればいいか。順天堂大学医学部の小林弘幸教授は「自律神経のバランスを乱す行動を取らないことだ。とくに怒りがもたらす影響は大きいので、日々の生活を見直してほしい」という――。

※本稿は、小林弘幸『自律神経が10割』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

順天堂大学医学部の小林弘幸教授
撮影=川しまゆうこ
出典=『自律神経が10割』(プレジデント社)

自律神経は、わたしたちを24時間365日支えている

わたしたちの生命活動を、時間365日支え続けているもの──それが「自律神経」です。

自律神経は、わかりやすくいえば内臓器官のすべてを支えていて、とくに血管をコントロールしています。

たとえば、わたしたちが意識しなくても心臓はしっかりと自律的に動いていますが、それは自律神経の働きのおかげです。

また、呼吸も自律神経がコントロールしていることを思えば、まさに、わたしたちの生命活動の根幹を支えていると見ることができるでしょう。

自律神経は、「交感神経」と「副交感神経」で構成されています。わかりやすく車の機能にたとえましょう。

まず、交感神経はアクセルです。交感神経の働きが優位になると、血管が収縮して血圧が上昇し、気分までアグレッシブな状態になります。

一方、副交感神経はいうなればブレーキ。副交感神経の働きが上がると、血管が適度にゆるんで血圧が低下し、体は穏やかなリラックスの状態になります。

心身の健康にとって理想的なふたつの神経のバランスは1対1。つまり、それぞれの神経が高いレベルで活動しながら、同時にバランスがとれているときに人間の体はもっともいい状態となります。

逆にこのバランスが崩れたときは、心身に様々な不調が現れるようになるのです。

【図表】1日の自律神経の動き
起床後から正午あたりまでは交感神経の活動が優位になり、正午以降は交感神経の働きが下がりはじめるとともに、副交感神経の働きが上がりはじめ、18時をめどに副交感神経が優位になって体は休息モードへ入っていく。出典=『自律神経が10割』(プレジデント社)