「まとめておいて」と言われても…
4月になり、新年度を迎えるたびに思い出すことがあります。
新入社員として入社後、訳も分からない状態のまま、とりあえず上司が参加する会議に一通り同席していた時のことです。
当時の私は、上司が別の部署の人と何を議論しているのかまったく理解できませんでした。誇張でも何でもなく、本当に「日本語で会話をしていること」以外は何もわからない……。そんな場面が何度もありました。
にもかかわらず、会議室から自席のあるフロアに戻るまでのエレベーターの中で、上司からヒトコト。「今の会議の議事録、今日中にまとめておいて」。
当時の私の心境は、「まとめておいてと言われましても、いったい何をどう聴いて、理解し、どんな体裁の資料にしたらまとめたことになるのか、まったくわからないんですけど……」というものでした。
ビジネスシーンで連発される「曖昧フレーズ」
その後、年次が上がっていく中で、「まとめる」に限らず、そもそも仕事で飛び交うコミュニケーションには、数多くの「曖昧フレーズ」があるのだということを、しだいに理解していきました。
「どうか“当事者意識”を発揮して、日々の業務に取り組んでください」
「“お客様目線”を徹底していこう」
「目の前のことばかりでなく、もっと“視野を広げて”捉えていかないと」
仕事をしていると頻繁に見聞きするけれど、これだけでは、具体的に何をすれば良いのかさっぱりわからない。それが、曖昧フレーズです。
しばらく仕事をしていると、阿吽の呼吸的な感覚で上司の言いたいことが何となくわかってくる場合もありますが、入社して間もない頃は、なかなか察することができません。
新入社員かどうかに限らず、たとえ30代や40代であっても、新しい部署に異動した時や転職した際に、「上司が何を言いたいのかわからない」と感じる場面はあるはずです。
新年度がスタートしたばかりの今の時期、「今の自分がまさにその状況だ」と感じている人も多いのではないでしょうか。