「紙1枚」に書き出して可視化していく
こうした認識をベースに、私は以前から「お客様目線」について、図表1のような「紙1枚」を書きながら実践を続けています。
まず、左半分7つのフレームに、自身が扱う商品やサービス、あるいは自身の担当業務についてのキーワードを書き出していきます。
「なぜ、その商品やサービス、仕事が好きなのか?」「どんな点を誇りに思うのか?」「何を味わってほしいのか?」といった問いを立て、浮かんだキーワードを埋めていってください。
記入時の最大のポイントは、「あなたの感情が動くかどうか?」です。
実際、特に感情が動いたキーワードに、赤ペンで丸をつけてみてください。1つだけでなく複数囲っても構いません。
理屈の上での強みや、スペック上のストロングポイント以上に、あなた自身が強くそう思うこと、感じていることを、この機会に言語化していきましょう。
こういった「想い」で書き出しをしていけば、しだいにその商品やサービス、業務にたいする愛着を見出していくことができるのではないでしょうか。
ただ腕を組んで頭の中で考えるのではなく、紙を見て、手を動かして体験レベルでやるからこそ、そうした心境が生まれてくる。これが、実際に「紙1枚」に書き出してやってみることの醍醐味です。
順を追うことで実感が大きく変わる
左半分の記入を終えたら、今度は「紙1枚」の右半分を見てください。
「お客様、ユーザー、相手の声は?」といった問いを立て、できるだけ“顧客の立場になって”書き込んでいきましょう。
これまで多くの人にこの「紙1枚」を書いてもらったことがあるのですが、いきなり「お客様の声は?」あるいは「あなたの成果物を受け取った相手の考えは?」というテーマで書き出してもらうよりも、「はるかに記入がしやすくなった!」という声を多数もらってきました。
一方、あまりたくさん埋められなかったというケースもありましたが、ある受講者さんからは「今すぐお客様のところに行って、話を聴いてみたくなりました!」と言われ、実際にすぐに取引先に飛んで行った人もいるくらいです。
これだけの行動変容が生まれれば、「行動できるレベルの解像度上げ」としては、十分すぎるくらいの成果と言えるのではないでしょうか。


