血液中の尿酸が多いと病気の原因に
とにかく暑いですね。みなさま、熱中症にお気をつけください。さて、こう暑いとビールが飲みたくなる人も多いでしょう。かくいう私も、よくビールを飲みます。家庭菜園で採れた枝豆でビールを一杯やるのは最高です。ただ一つだけ気がかりなことがあります。私の尿酸値は、わずかですが正常域を超えているのです。
尿酸は、プリン体という物質が分解されてできます。血液中の尿酸が多いとさまざまな病気の原因となります。有名なのは痛風ですね。関節に尿酸の結晶がたまって炎症が起きることで、関節が激しく痛みます。足の親指の付け根が好発部位ですが、足首や手首、膝や肘の関節にも起こることがあります。尿酸が原因の病気は痛風だけではなく、尿の通り道に尿酸の結晶ができると尿路結石です。慢性腎臓病や心血管疾患との関連も指摘されています。
昔から「ビールはプリン体を多く含んでいるから、高尿酸血症や痛風に悪い」と言われてきました。尿酸値が高い人は、ビールをあきらめるべきでしょうか。一方でビールは悪くないという説もあります。「プリン体は体内でも作られていて、食べ物や飲み物由来のプリン体は2~3割ほどに過ぎず、しかも重量あたりのプリン体の量は肉や魚のほうが多いから、ビールをあきらめる必要はない」というものです。どちらが正しいのでしょう。
ビールが「痛風」に悪いのは本当か
さまざまな研究からわかるのは、ビールが痛風によくないのは否定しがたい事実であるということです。食品と高尿酸血症・痛風の関連を調べた多くの研究において、ビールをはじめとしたアルコール飲料と、高尿酸血症・痛風のリスクの上昇の関連が示されています。複数の研究を統合したメタ解析でも、尿酸値上昇への影響が最も大きかった食品はビールと、ウイスキーや焼酎、ウオッカなどの蒸留酒だとされています(※1)。
蒸留酒には、ビールほどのプリン体は含まれていませんが、それでも尿酸値を上げます。時に「焼酎にはプリン体が含まれていないので、痛風でも大丈夫」といった話を聞きますが誤りです。さらにビールや蒸留酒に比べ、ワインは相対的にはマシですが、それでも高尿酸血症との関連はあります。アルコールそのものに、体内での尿酸合成を促進したり、排泄を阻害したりする作用があるからです。
このようにお酒の種類にかかわらずアルコールは高尿酸血症や痛風に悪影響を与えるものの、各ガイドラインでは必ずしも禁止されておらず、飲酒量を控えることや休肝日を設けることが推奨されています。適量はおおむね、ビールなら500mL以下、日本酒なら180mL以下です。ビールをあきらめなくてもよさそうです。