空腹状態でコーラを飲むと体はどうなるか

ちなみに、本稿を書くにあたって実験をしてみました。あえて空腹状態である朝、コーラ飲料を飲んでみたのです(注)

(注)これらの実験は、読者のみなさんの理解の助けとなるための「見える化」の試みであり、エビデンスレベル(科学的根拠の信頼度)は6段階のうちレベル5(症例報告)です。紹介している現象は論理的矛盾がなく、他の報告でも確認されているものですが、あくまで参考として考えてください。血糖の数値は個々人によって大きく変わるものです。実際の自分の数値を知りたい場合は、ご自身でフリースタイルリブレ(グルコース値の測定器)を装着して確認してみてください。

するとどうなったのかという結果が、次の図表1です。これはフリースタイルリブレで測定した血糖値の変動を表すグラフで、見事に血糖値スパイクができました。350mlのコーラを1缶飲んだら、直後に225mg/dlぐらいまで急上昇していました。あまりにも血糖が上がったので朝ごはんを食べる気になれませんでした。

12時と19時頃から始まる山は昼食と夕食の影響で上がった血糖です。コーラによる山は食後の山よりもはるかに高くなっています。液体の糖質というのは、血管にとって凶器なのです。

氷を持つコーラ
写真=iStock.com/karandaev
※写真はイメージです

どうしても飲みたければ「糖質ゼロ飲料」を選ぶ

ところで、最近では糖質ゼロ、カロリーゼロを謳った甘い清涼飲料水も売られていますよね。コーラにも、糖質ゼロのものがあります。糖質ゼロなのになぜ甘いのかというと、アスパルテームやアセスルファムK、スクラロースといった人工甘味料が使われているからです。これらは砂糖の何倍もの甘みがある一方で(アスパルテームは砂糖の200倍)、糖質は含まないので、血糖値も上げなければインスリンの分泌も促しません。

そういう意味では、どうしても甘い清涼飲料水が飲みたくなったら、糖質ゼロのダイエット系清涼飲料水を選ぶほうがベターです(実際にフリースタイルリブレで確認しても血糖値はまったく上がりません)。ただ、「糖質ゼロのダイエット系清涼飲料水なら安心して飲んで大丈夫」とは言い切れません。なぜなら、弊害があるという明らかなデータは現時点ではまだ出ていないものの、そもそもデータが出揃っていないからです。

また、「甘い」と感じるということは、脳も甘さをキャッチして、脳内では報酬系が刺激されるので、「もっと、もっと」と甘いものを欲し続けてしまいます。現時点で言えるのは、ふつうの甘い清涼飲料水を飲むなら、糖質ゼロの清涼飲料水を飲んだほうがベターだけれど、そもそも水分補給のために甘い飲みものを飲む必要はないのではないか、というところまでです。