疲れた体を回復させるには、どうすればいいのか。医師の早坂信哉さんは「寝る直前の入浴はやめたほうがいい。睡眠の質を最大化するためには、温度や入るタイミングが重要だ。どうしてもシャワーしか浴びられない日でも、ぜひ工夫してほしいことがある」という――。(第3回)

※本稿は、早坂信哉『入浴 それは、世界一簡単な健康習慣』(アスコム)の一部を再編集したものです。

お湯を注いでいる途中の浴槽
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「長風呂」はかえって不健康になる

いつもより長めに湯船に浸かった後、なんだかぐったりしてしまった……そんな経験はありませんか? これは「のぼせ」と呼ばれる現象で、決して珍しいことではありません。「長く入れば入るほど体にいい」と思っていたら、それは間違いです。

湯船に浸かると体温が上がり、体はそれを下げようとして発汗を促します。ところが入浴時間が長すぎると汗の量が増え、体内の水分や電解質(ナトリウムやカリウム)が失われて急激に脱水が進行します。その結果、血液がドロドロになって血液の巡りが悪くなり、体温も上がりすぎて脳や心臓、その他の内臓の機能も一時的に悪くなります。

これが、入浴後の疲労感や頭痛、立ちくらみの原因になることがあります。

特に高齢の方、高血圧や心疾患、糖尿病などの持病がある方は、脳卒中や心筋梗塞などのリスクが高まるため、長風呂には注意が必要です。

さらに、自覚がなくても、浴室の高温多湿の環境の中で熱中症になっている場合も少なくありません。

10分以上入りたいなら「35~37℃のぬるま湯」で

私は「40℃で10分間の入浴」をすすめていますが、これは医学的根拠に基づいた健康効果があるだけでなく、安全面でも最適だからです。ただし、体調によっては10分間でも長いと感じるかもしれません。

そのときは、「おでこにじんわり汗がにじんできたら」無理をせずにいったん湯船から出ます。水分を補給して少し体温が下がったら、体が冷えないうちに再度浸かってください。これで体への負担を減らすことができますが、無理は禁物。体調がすぐれない場合は、たとえ10分未満であっても部屋に戻り休みましょう。

逆に、「10分より長く入りたい」という方は、第2回で示したように、35~37℃のぬるい温度に設定します。心身の緊張がほぐれるので、寝る前やストレスが強いときにおすすめです。

それでは、体を洗うのはお湯に浸かる前がいいと思いますか? それとも後?

「そんなのどっちでもいい」と思われるかもしれませんね。でも、実はこの順番、肌の健康のためにはちゃんと意味があるのです。