「党内でも大丈夫かという雰囲気だ」

高市早苗首相(自民党総裁)が2月の衆院選で、自民党単独で316議席を得て圧勝し、自ら「無双感」を漂わせている。

石油備蓄の放出などに関し、記者団の取材に応じる高市早苗首相=2026年3月11日、首相公邸
写真=時事通信フォト
石油備蓄の放出などに関し、記者団の取材に応じる高市早苗首相=2026年3月11日、首相公邸

自民党3役経験者は、こう指摘する。

「解散についてはいろいろあったが、これだけ勝ったら、誰も文句を言えない。皆、入ってしまったんだから。300議席というのは、何かふわふわした感じがして、党内でも地元でも、大丈夫かという雰囲気だ」

具体的には、国会運営に見られる数の驕りや慢心にほかならない。高市首相は2026年度予算案の年度内成立を目論み、3月13日の衆院通過を目指して審議時間の短縮を図るよう、自民党に指示している。

与野党の質疑や異議申し立てを受けるという民主的手続きをきちんと踏もうとしない。国会論戦は首相の適格性、説得力を測定する機会でもある。効率化やスピード感を優先しすぎてはいないか。

自民、日本維新の会両党が3月3日に衆院議員定数(465)の1割削減を図る法案を今国会に提出することで合意したことにも、巨大与党の驕りが垣間見える。法案成立から1年以内に与野党協議で結論が出ない場合、自動的に比例選の45議席を削減するという条項が盛り込まれる方向だという。

衆院議員定数は、選挙制度の根幹で、政党の議席の消長に直接影響するが、維新の会から、なぜ1割削減なのか、なぜ政党交付金や議員報酬の削減ではないのか、という説明や議論を聞いたことがないではないか。

そして、2月24日の週刊文春報道で発覚した、首相が自民党衆院議員315人に当選祝いとして1人3万3990円(税込み)のカタログギフト(総額1070万円余)を配布した問題である。

首相は、政治資金規正法などの法令違反はないとかわすが、政治資金の使い方として適切かどうかが問われているのが分からないのだろう。内閣支持率の低下が始まる潮目になるのではないのか。

「資料だけで答弁とはすごい自信だ」

高市首相は、根回ししない、会食しない、耳から入るナマ情報よりも紙の資料を好むという、これまでの永田町にはなかった政治スタイルを取る。

自民党の派閥幹部や国会対策の経験がなく、合意形成を積み重ねて物事を進める政治の技術や、それに必要な人間関係を築く意図を理解しようとしない。3度の総裁選を戦ってきた割に、支持基盤は脆弱で、体を張ってでも守ってくれる側近もいない。

安倍晋三元首相ら歴代首相は、昼食時は食堂から蕎麦やカレーを取り寄せ、官房副長官や首相秘書官らとニュースを観ながら議論や意見交換するなど、官邸チームを重視した。だが、高市首相は、昼食も独りでコンビニのおにぎりなどをほおばっているという。