維新にとって、他党の身を切る改革になっていないか。民主主義の土台である選挙制度を、巨大与党が主導して多数決で変更していいのか、という自問はないのか。

自民党は3月6日、政治制度改革本部(加藤勝信本部長)の総会を開き、衆院定数削減法案に関する議論を再開した。総会では「地方の小選挙区をこれ以上減らすべきではない」という賛成の声が上がったが、「中小政党への影響が大きく、多数派で押し切るべきではない」「削減対象を昨年の法案から変更する理由が説明しづらい」という反対・慎重論も出た、と報じられている。

選挙で勝てば、何をしてもいい、ということにはならない。定数削減問題は、民意の集約を果たす小選挙区選に対し、民意の反映といわれる比例選の役割やバランスをどう考えるか、ということも問われているのである。

「昭和の中小企業のオヤジみたい」

高市首相のカタログギフト配布問題は、首相自身がどう説明し、国会でどう取り上げられ、世論はどう受け止めたか。

首相は2月24日、報道を受けて、X(旧ツイッター)に投稿し、「労いの気持ちも込め、奈良県第2選挙区支部(高市早苗支部長)として、政治活動に役立つものを選んでいただこうと、カタログギフトを差し上げた。数回に分けて夕食会を開催して欲しいとの要望もあったが。政党交付金は一切使用することはない」と明らかにした。

2月27日の衆院予算委員会では、中道改革の小川氏が「違法かどうか置いておいて、庶民感覚、国民の金銭感覚からかなりかけ離れた行為だ」と質した。首相は「昭和の中小企業のオヤジ社長みたいなところが、まだ私にはある」「飯会苦手な女だ。でも何らかの気持ちは示したい。結婚式のご祝儀を参考にした」と弁明している。

政治資金規正法に照らせば、高市早苗個人ではなく、政党支部からの支出だから、合法なのだろう。個人が現金や有価証券を寄付することは禁止されているが、政党からの寄付は許されているからだ。

首相は、3月3日の衆院予算委で、「自民党総裁でもあるので、かなり例外的なことをした」「批判を受けるのであれば、法律には抵触をしないが、慎みたい」とも語った。

問題の背景にあるのが、政治資金が非課税であることだ。これは、政治活動が公共の利益に資するものだという考え方に基づく。

中小企業のオヤジのご祝儀は、所得税など税を負担したうえでの支出だ。非課税の政治資金を原資にした身内への当選祝いは、これに例えられるのか。法の趣旨からして、相応しいのだろうか。

世論は、首相の説明に納得していない。3月の時事通信世論調査(6~9日)では、高市内閣の支持率は59.3%で、前月を4.5ポイント下回って、過去最低となった。カタログギフト配布について尋ねたところ、「問題だと思う」が45.7%で、「問題だと思わない」の36.5%を上回った。

首相は、政治とカネの問題を甘く見ないほうがいいのではないか。

2026年1月19日、日本経済団体連合会との懇談会を開催した高市総理
2026年1月19日、日本経済団体連合会との懇談会を開催した高市総理(写真=内閣広報室/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons
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