同じカロリーでも体にいい「分子」と悪い「分子」がある
食品をカロリー含有量で評価するのは、本をページ数で評価するようなものだ。100カロリーの果糖、100カロリーのグルコース(ブドウ糖)、100カロリーのタンパク質、100カロリーの脂肪は、燃やせば同じ量の熱を出すかもしれないが、体への影響は大きく違う。それは「分子」が違うからだ。
2015年、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究チームは、まったく同じカロリー量を食べていても、食べる「分子」を変えると病気を治すことができると証明した。たとえば、果糖のカロリーは、グルコース(ブドウ糖)のカロリーより体に悪いことがわかった(果糖はグルコース以上に炎症を引き起こし、細胞を老化させ、しかも脂肪に変わりやすい)。
この研究には、肥満のティーンエイジャーの被験者もいた。彼らは果糖のカロリーをグルコースのカロリーに置き換えて食べるよう指示された(つまり、ドーナツのような果糖を含む食品のかわりに、ベーグルのように果糖を含まずグルコースを含む食品を食べた)。摂取するカロリー量は変わらない。すると、彼らの健康が改善したのだ。血圧が改善し、中性脂肪とHDLの比(心臓病の重要な指標)も改善した。そして、脂肪肝や2型糖尿病もよい方向へ進みだした。健康上のこの大きな変化は、たったの9日間で起こった。
結果は決定的だった。100カロリーの果糖は、100カロリーのグルコースより体に悪い。つまり、常に甘いものよりデンプン質のものを食べるほうがいい。
もしこの研究で、果糖をタンパク質や、脂肪、食物繊維に変えていたら(たとえば、被験者がドーナツのかわりにギリシャヨーグルトや焼きブロッコリーを食べていたら)、もっと大きな効果が出ていたことだろう。