流出を止めるカギになるDNA鑑定
その流出に対しスピーディーに対応をする決め手となるのがDNA鑑定だ。2022年の初競りで1房150万円の値がついた、高級ブドウ「ルビーロマン」の苗木が韓国に流出した。その決め手となったのが、まさにこのDNA鑑定である。先月、韓国国内で販売されていたこのブドウを国の検査機関でDNA鑑定を行ったところ、ルビーロマンと遺伝子情報が一致していることを証明できた。これにより、過去にないスピーディーな差し止めができる。販売元が手に負えないレベルでバラける前の段階で止めることができるだろう。
日本のフルーツの海外流出は甚大な問題である。
フルーツの品種改良はAIやロボットの世界と違って、知恵があれば効率的・時短的イノベーションが起きるというわけではない。地道な品種改良を膨大な時間と手作業を積み重ねた上で成し遂げられる職人の世界に近い。それを成果物だけごっそり持っていかれたのでは、開発者は悔やんでも悔やみきれないだろう。二十数年間、ずっと盗まれ放題の惨状を本気で止める時が来ている。