中国人にウケる「メイド・イン・ジャパン」
グローバルのプレゼンスが失われたと嘆く声も聞こえてくる昨今でも、中国内における日本産の商品・サービスの品質への信頼はまったく揺らいでいない。
10年くらい前から、中国人はネット上で日本の製品を買う消費行動が見られるようになっている。中でも人気なのが紙おむつや粉ミルクや化粧品、そして日本のフルーツもそれに加わっている。日本の新しい品種、という意味の言葉「日本新品种」を「百度」などの中国の検索エンジンで探すと、花や果樹などが多くヒットする。そして検索結果にはシャインマスカットも出てくるのだ。
近年中国では知的財産強国へ舵を切っており、中国国内でも知的財産への意識の高まりの声が漏れ聞こえてくるようになった。しかし、こと日本のような海外からの窃盗について厳しく取り締まるという話は聞かない。国内外での取り扱いの温度差については、まだメスが入る余地がありそうである。
被害総額は年1000億円超とも
消費範囲は中国国内にとどまらない。中国で作られたシャインマスカットは「China Shine Muscat」などの名称でマレーシアなどでも販売が確認されている。もはやグローバル・マーケットでも盗んだ品種を売りさばいているような状況だ。
シャインマスカットにおける、海外輸出量は日本に比べて韓国は5倍、農地面積については中国は40倍もの規模になるという。韓国のぶどうの輸出額は2021年4月時点のデータで約8億円(727万ドル)となっており、その内訳はシャインマスカットが9割を占めている。(nikkei asia 2021年8月15日配信)
本来、日本が独占的にシャインマスカットを輸出できていたら稼げたであろう試算をするととてつもない金額になる。メディアの報道の中には、被害総額は年間1000億円超というものもある。農林水産省はシャインマスカットの被害額を約100億円と試算している。