いつの世も、学生は金がないのが当たり前。しかし全国大学生活協同組合連合会が2011年10月に行った「第47回学生の消費生活に関する実態調査」によれば、アルバイト代や仕送り、奨学金などを含む下宿生の「収入」は4年連続で減り続けており、1カ月平均11万8900円と1990年以降最低の金額になったという。仕送り額が最も多かった96年に比べると3万2460円のマイナスで、約3割も減少したことになる。その理由はやはり親の収入減。

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下宿生の父親の年収と仕送り額

「年収1000万円以上の親の数が年々減るにつれ、下宿生の仕送り額も減っています」と同連合会広報調査室の堀内久美さんは分析する。

入ってくるお金が少ないなら、節約に励むか、アルバイトをするしかない。しかしアルバイトの賃金も月2万1540円と、前年より360円のマイナス。当然毎月の食費も減り、今年は2万2590円と63年の調査開始以来、最低金額を記録した。これは76年の1カ月の食費2万2970円を下回る金額だ。

これではさぞや大変だろうと思いきや、意外にも当の大学生たちの暮らし向きに関する意識を見てみると、「自分は楽なほう」だと思う割合が前年の40.1%から43.8%に増加している。これには物価の低下などさまざまな理由が考えられるが、その一つとして堀内さんは「子供が、がんばっている親の姿を見ていること」を挙げる。

「今の親子は絆が強く大学受験も親子の共同作業。志望校や学部選びも親が関与するのが一般的です。家計の苦しさを知っている子は親に感謝し現状に満足しているのかもしれません」

(ライヴ・アート=図版作成)