不況や震災による節約志向を背景にカーシェアリングが伸びている。所有から利用へというドライバーの意識変化に伴い、近距離・短時間の自動車使用の選択肢として認知されたといっていい。矢野経済研究所が1月末に発表した調査結果では、2010年に約24億円だった市場規模が、今年は100億円を突破するという。
この勢いを象徴するのが、業界トップのパーク24だ。同社は09年からこの分野に参入しているが、好調の理由を広報担当の袴田千津子さんは「当社のカーシェアリングサービス『タイムズプラス』は現在、会員数9万人を超え、車両台数3700台余りになっています。大の成長要因は、全国に約1万カ所ある時間貸駐車場『タイムズ』を活用して、その5分の1に車両を配備できたからです」と話す。
カーシェアリングを事業として立ち上げるには、会員、車両、そして駐車場の3つの要素が不可欠である。ただ、会員獲得に先がけてハード面を整備する先行投資型ビジネスであるため、収益確保まで時間がかかる。パーク24ですら、前期までは営業利益ベースで赤字が続き、今期(12年10月期)±0をめざすという状況で、黒字化できた会社はまだ1社もない。
そうしたことから、新規参入したものの、撤退を余儀なくされる事業者もあり、現時点では、パーク24やオリックス自動車など大手数社の寡占に近い状態にある。だが今後、これらの企業が駐車場を増設し、車両を増車することで、使い勝手がよくなれば、会員数はさらに増えていくはずだ。
(ライヴ・アート=図版作成)