一人で発揮できる「力」が高まっている

これらの中で一番興味をそそる、一番重要な形態のレバレッジが、「限界費用ゼロで複製できるプロダクト」という概念だ。これが新形態のレバレッジだ。

発明されてまだ数百年しか経っていない。活版印刷に始まり、放送メディアによって加速し、現代ではインターネットとコーディング[プログラミングコードを書くこと]によって爆発的に拡大している。今や他人を介さずに、他人のお金も使わずに、君の取り組みを何倍にでも拡大できるんだ。

この本もレバレッジの一種だね。大昔なら講堂に座って一人ひとりに語りかけなくてはならなかった。数百人に言葉を届けられたかもしれないが、せいぜいそれが限界だった[※2]

新たな富を生み出し、新たな億万長者を生み出しているのは、すべてこの最新形態のレバレッジだ。ひと昔前は、資本が巨万の富を生み出した。莫大な富を築いたのは、世界のウォーレン・バフェットたちだった。

でも新世代の富はすべて、コードかメディアを通じて生み出されている。ジョー・ローガンはポッドキャストで年に5000万ドルや1億ドルを叩き出している。

それにユーチューバーのピューディーパイがいる。彼がいくら稼いでいるかは知らないが、ニュースメディアをしのぐ影響力の持ち主なのはたしかだ。

ジェフ・ベゾス、マーク・ザッカーバーグ、ラリー・ペイジ、セルゲイ・ブリン、ビル・ゲイツ、スティーヴ・ジョブズはいうまでもない。彼らの富は、すべてコードというレバレッジが生み出した[※2]

これら新形態のレバレッジの一番おもしろい点は、非許可型(パーミッションレス)という点だろう。これを覚えておいてほしい。それを使って成功するのに、誰の許可もいらないということだ。

労働力のレバレッジは、他人に従ってもらう必要がある。資本のレバレッジは、他人から投資やプロダクト生産のための資金の提供を受ける必要がある。

でもコーディング、本の執筆、ポッドキャストの収録、ツイート、YouTube動画の作成――こういったことは非許可型だ。誰の許可も必要なく、だからとても平等主義的なんだ。レバレッジの強力な平等化装置だ[※2]

優れたソフトウェア開発者は、今やロボット団を従えているようなものだね。コードを書いてしまえば、あとは夜寝ている間もロボット団がせっせと働いてくれる[※2]