今回の参院選の論点はこの4つ

争点が見えないと言われてきた今回の参院選ですが、物価の高騰が大きな問題になってきました。ロシアがウクライナへ侵攻した影響も響いて、ガソリンや食品の値上がりが止まりません。生活を直撃する品目ばかりですから、早急な対策が必要です。

安全保障に対する懸念もあります。憲法9条を改正して、自衛隊を明記せよという議論も高まっています。地震や豪雨などの災害が突発したとき、いの一番に駆けつけるのは自衛隊です。その活動は国民の9割の理解を得られていて、もはや国に欠かせない組織です。

しかし緊急出動では、負傷したり命を落としたりする隊員がいます。自らの身体を張って頑張っている組織の人たちが、いまでも憲法違反だと言われる。このことは実に申し訳ないと思います。隊員の子どもたちが学校で、偏った考えの先生から「君のお父さんが働いている自衛隊は、憲法違反なんだ」と言われたら、そのお子さんは、どんな思いをするでしょうか。

時代に即した位置づけが、必要な時です。世界の国々が、自衛隊を軍隊だと認めている現実もあります。こうした理解に基づき、憲法9条の戦争放棄は絶対に残した上で、国民の生命、財産、安心と安全を守るために自衛隊は必要な組織だと、明記すべきです。これは、私が所属する日本維新の会の考え方です。戦後77年たって、憲法を一言一句変えていない国は日本だけです。自由闊達に議論を重ねて、ふさわしい方向へ改めるべきです。

ウクライナ危機を鑑み、防衛費を増額しようという声もあります。日本維新の会も、「積極防衛能力」の構築に向けて、GDP比2%に増額すべきだと主張しています。その必要性は私も認めますが、火事場泥棒的な議論は禁物です。なぜなら防衛費を増やすだけでは、武力紛争の発生は防げず、発生した紛争を収めることもできないからです。兵士や武器を増やせば、戦争は長期化し激化するのです。逆に、紛争を起こさせない雰囲気づくりこそ肝心です。そのためにODAや経済協力を積み重ねる力が、日本にはあります。

憲法改正で歯止めをかけておくべきこと

憲法改正で言えば、基本的人権やプライバシー保護について、さらに書き加えるべきだと私は思っています。憲法ができた時代には存在しなかったインターネットやSNSを舞台にした誹謗ひぼうや中傷で、人権を侵害され、自ら命を絶つ人までいます。

現在の憲法にも人権の尊重はうたわれていますが、守られているとは言えません。そうした細かい点は法律に任せて、憲法は現行のままでいいとする意見もあります。しかしこれから先、ますます被害が複雑化し、広がるであろうことを鑑みると、憲法で歯止めをしておいたほうがいいのではないか。そのための議論をすべきではないかと、私は思っています。20世紀半ばに作られた憲法を、21世紀の現代に合った内容へ、さまざまな点においてアップグレードすべきです。

有権者の皆さまには、日本の行く末を託すべき政党、候補者をしっかり見極めて、一票を投じていただきたいと思います。

(構成=石井謙一郎)
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