北海道・知床半島沖で起きた観光船「KAZU I(カズワン)」の沈没事故。事故の原因は何か。事故発生後にすぐに行うべきだったことは何か。北海道出身で北海道の地域政党「新党大地」代表でもある参議院議員の鈴木宗男氏は「知床の海に甘い考えは通用しない」「外務省が海上保安庁に一元的に任せたのは大きな間違い」という――。

斜里町ウトロの対策本部で、私が見たもの

4月23日、乗客24人と乗員2人を乗せた観光船「KAZU I(カズワン)」が、北海道・知床半島の斜里町側の沿岸で沈没しました。14人がなくなり、12人が行方不明のままです(6月15日現在)。何より、一日も早い発見を願います。

事故から1週間が過ぎるのを待って、私は斜里町ウトロの役場支所に置かれた対策本部を訪問しました。すぐに飛んで行きたかったのですが、捜索で慌ただしい中、迷惑をかけてはいけないので、少し時間を置いたのです。

国交省、海上保安庁、自衛隊、北海道庁、北海道開発局、北海道警察、斜里町役場、漁協関係者、消防団、観光船同業者の皆さんが、捜索や乗客のご家族の対応に、大変な尽力をされていました。特に斜里町役場の職員が、連休返上でローテーションを組んで詰めていたのには、頭が下がりました。

お話を聞いて、ただただ涙がこみあげた

捜索を見守るご家族にもお会いしました。皆さんは、「KAZU I」の運航会社「知床遊覧船」の桂田精一社長の弟が経営している民宿に泊まっていたんです。そこには北海道警察、役場の皆さんも相談相手ということで詰めていました。ご家族ごとに部屋が分かれていますから、役場の人に「鈴木宗男が来ていて、激励したいので、お会いできる方はいらっしゃいますか」と声をかけてもらったところ、3家族が会いたいとおっしゃってくださいました。

それぞれのお部屋へ行って、お話をしました。一人旅が好きだったご主人を亡くされた女性は、船が沈む直前に電話がかかってきたことを教えてくれました。「いま、足まで水が浸ってきた」という緊迫したやり取りが、最後だったそうです。ウトロ港の岸壁には、その男性の自動車がそのまま残されていました。お聞きしていて、ただただ涙がこみあげ、いたたまれなくなりました。

やはりご主人を亡くされた別の女性は、対策本部はよくやってくれていると労いながら、桂田社長に対する憤りを述べておられました。家族に向けた説明会でも、質問に対する桂田社長の答えはまったく的を射ず、ずれているというお話でした。もうひと家族の方は、再びこういうことが起こらないためにも、しっかり検証してほしいとおっしゃっていました。なぜこんなことが起きたのか、きっちりと検証していかなくてはいけません。