富良野の地価が上昇している。金融アナリストの高橋克英さんは「ニセコ投資で味をしめたアジアの富裕層が注目している。富良野は第2のニセコになるかもしれない」という――。
草原
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西武ホールディングスが手放さなかった「富良野」

西武ホールディングス(西武HD)は2022年2月、所有するプリンスホテルに加え、スキー場やゴルフ場など国内76施設のうち31施設を、同年9月までにシンガポールの政府系投資ファンドGICに総額1500億円程度で売却すると発表した。

売却後もプリンスホテルとして運営するということながら、衝撃的だったのは、売却となる31施設には、「ザ・プリンスパークタワー東京」や「サンシャインシティプリンスホテル」という都心のホテルに加え、「苗場スキー場」「苗場プリンスホテル」というプリンスリゾートを象徴する施設なども含まれていたことだ。

苗場だけでなく、かぐら、万座温泉、志賀高原焼額山といった国内屈指のブランド力あるスキーリゾート(スキー場+プリンスホテル)をも手放すという。

一方、「軽井沢プリンスホテル」や「品川プリンスホテル」など品川・高輪、軽井沢や箱根といった西武HDにとって中核エリアの施設は、引き続き西武HDのグループ会社の保有となるという。高いブランド力と収益力を有していることが背景にはあるだろう。

実は、そのなかには、北海道の富良野(富良野スキー場、富良野プリンスホテル、新富良野プリンスホテル)も含まれているのだ。苗場やかぐら、志賀高原焼額山、万座温泉といった本州最大規模のスキーリゾートが売却されるなか、なぜ富良野は生き残ったのだろうか。

中国ではニセコより知名度が高い

北海道の真ん中に位置する富良野スキー場(富良野市)は、FISワールドカップも開催された日本を代表するスキー場の一つだ。最寄りの旭川空港からは、車で約1時間、札幌からも車で約2時間の距離だ。

中心街となる北の峰ゾーンには、三角屋根が特徴の富良野プリンスホテル(現在休業中)をはじめ、ホテルやペンションなどが立ち並ぶ。

富良野ゾーンには、客室数407室を誇る新富良野プリンスホテル、幻想的な店が並ぶニングルテラス、テレビドラマ「北の国から」をテーマにした富良野・ドラマ館などがある。

富良野の魅力は、スキーシーズンだけではない。むしろグリーンシーズンがメインともいえる。ラベンダー畑で有名なファーム富田(中富良野町)では、SNS映えを求めるインバウンドも多く訪れる。中国ではニセコより知名度が高く、日本を代表する観光地の一つとされるぐらいだ。