「裏切られた気分。ひどすぎます」
「何が不満かって、東部の住民は買い出しに行く時間がまったく与えられていなかったことですよ! 西部の人は4日間も余裕があったのに、なぜ私たちだけ? っていう悔しい気持ちです。それに上海市政府は3月26日の時点でも『ロックダウンはしない』と明言していたんですよ。それが翌日になって突然変更するなんて裏切られた気分。ひどすぎます」
怒りながら一気にこうまくし立てたのは東部に住む知人の中国人女性だ。3月下旬、新型コロナウイルス(オミクロン株)の感染者が3000人近くにまで急増した上海だが、「経済的影響があまりにも大きすぎる」という理由で、ロックダウンはしない(できない)と言われていた。ところが、27日になり翌28日からロックダウンすると発表。人口2600万人の上海市民の間に衝撃が走ったのだ。
市政府は上海市に流れる黄浦江という川を境目にして市を2分割し、まず28日から4月1日まで東部をロックダウン、4月1日から5日まで西部をロックダウンすると発表。市民は外出禁止、公共交通機関やタクシーも運行禁止、店舗も閉鎖となった。
ロックダウンから2日後の3月30日、私は冒頭の東部に住む女性に電話で話を聞いたのだが、怒っているのは西部に住む人も同様だった。
早朝6時からスーパーに行かないと食品を買えない
西部に住む独身の男性は「ロックダウンの発表後、急いでスーパーに行ったのですが、商品があまりにも少なくて茫然と立ち尽くしてしまいました……。とにかく買えるものを買って帰り、また翌日も早朝6時から買い出しに行くという感じでした。皆そうです。ネットスーパーは売り切れ続出で全然買えない状況なので。
2~3軒のスーパーをはしごしたのですが、そのたびに1時間以上も行列に並び、店内に入ったらすでに品薄状態。しかも値段が2倍以上になっているものもあって怒り心頭でした。それでも、お店の人が目の前で品出しすると、そこにわーっと人が殺到するので、奪い合いの修羅場になったところもありました。
私は独り者なので何とか食料は足りていますし、パソコンさえあれば在宅ワークできる仕事なので給料に響くこともないですが、労働者などは死活問題。それに、頼りになる身内がいなかったり、またはネットが使えなかったりする高齢者の世帯は本当にかわいそうだと思いますよ」と話す。