なぜフェイスブックはメタに社名変更したのか

2021年10月下旬、フェイスブックが、メタ(Meta)に社名変更すると発表した。今後はメタバースの事業に注力するからだとCEOのマーク・ザッカーバーグ氏は説明している。メタバースとはVR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)など3次元の仮想空間のことだ。

ザッカーバーグ氏やアマゾンのジェフ・ベゾス氏、テスラのイーロン・マスク氏などは、自分の管理できるペースを上回るスピードで会社の時価総額が増えてきた。個人資産も目の玉が飛び出る。ザッカーバーグ氏は約14兆円、ベゾス氏は約24兆円、マスク氏は約33兆円というから、毎日1億円ずつを使っても死ぬまでに使い切れない。

資産がだいたい1兆円を超えると、地に足がつかなくなる。“宇宙遊泳”だ。GAFAMの創業者たちは、1人1人見ていくとみんなおかしくなっている。20世紀の工業社会になかった異常事態だから無理もない。

21世紀の経済空間は、実体経済、ボーダレス経済、サイバー経済、マルチプル(倍率)経済の4つがある(『大前研一「新・資本論」』に詳述)。マルチプル経済でいえば、マスク氏のような人間は、従来の尺度では評価できない。テスラの時価が本当はいくらであるかを評定する方法はない。