ドイツは総選挙で16年ぶり首相交代
ドイツのメルケル首相が政界を引退する。2021年9月末のドイツ連邦議会選挙は、ほぼ予想通りの結果となったが、3党連立政権が正式に誕生するのはまだ先になる。
メルケル首相のキリスト教民主同盟(CDU)は第2党に転落し、同じ連立与党だった社会民主党(SPD)が第1党に躍進した。議席の過半数を獲得しなかったSPDは緑の党、自由民主党(FDP)と連立を組むことが決まっている。CDUとの差はほとんどなく、政権を担うには2党と組むしかない。
ドイツの連立政権は選挙してすぐにスタートしない。日本のいい加減な連立と違って、分厚い文書の1項目ごとに合意できるかどうかを数カ月かけて党同士で確認していく。今回の3党連立政権はクリスマスまでに誕生させるのが目標で、それまではメルケル氏が暫定首相だ。
「次期首相」のオーラフ・ショルツ氏は、第4次メルケル政権で連邦副首相、財務大臣を務めて評判がいい。一方、CDU党首のアルミン・ラシェット氏は人気がない。21年7月に大洪水の被災地を訪問し、関係者と談笑する姿がテレビに映り、「不謹慎だ」と批判を浴びた。総選挙では、評判のいいショルツ氏に、能天気なラシェット氏が大敗したわけだ。