世界的なコロナ不況が続く2021年、なぜか日経平均株価は30年ぶりに3万円を超え(21年2月時点)、現在も2万8000円台の高水準を維持。株式市場は大いに盛り上がっています。それだけでなく、絵画や別荘、高級時計も売れに売れ、価格も軒並み急上昇。これは、一体どういうことなのでしょうか——。代々木ゼミナールの人気講師・蔭山克秀氏が解説します。
状況的に“バブル”が発生しないわけがない
今回の高級品の値上がりは、去年私たちを苦しめたマスクや消毒薬の価格高騰とは、わけが違いそうです。絵画や別荘、高級時計など並ぶ商品に必需品がなく、いかにもカネ余り時に売れそうなぜいたく品ばかりですから。これらの商品から浮かんでくるイメージは、成金か投機(=短期的な利ザヤ狙いの投資)。そう、どうやらこれは「バブル」のようです。
確かに考えてみると、今はバブルが発生する条件が整っています。バブルは「カネ余り」や「投機に向いた商品」があるときに発生しやすく、実は現在、その両方が揃っているのです。
今の日本には、政府が気前よく振る舞う「コロナ緩和マネー」(特別定額給付金や持続化給付金、飲食店への休業補償金など)があふれる一方、日銀が大量の「ETF(上場投資信託)買い」を行い、不況にあえぐ企業の株価を押し上げ、景気を下支えしています(詳しい説明は省略しますが、ETF買いにはそういう効果があります)。
ということは、カネがダブついた国民の前に、日銀の吊り上げ政策で、まだまだおいしく育ちそうな株式市場が転がっているわけですから、これは確かにバブルになります。