ドラッカーの眼で見る「慶大野球部復活」の真相

大学の嘱託として、4年の契約である。「陸の王者」を目指し、1年目の成果は出した。では見返りは。

一番うれしかったことは、と聞けば、江藤監督は少し照れた。優勝の胴上げでも優勝パレードでもなかった。

10年4月29日の68度目の誕生日。練習前、主務に室内練習場に呼ばれた。何かと思ったら、全部員が集まっていた。サプライズだった。ケーキが準備されていた。拍手をもらい、「ハッピー・バースデー」を歌ってくれた。

「感激しました。よ～し。こいつらのため、絶対勝ってやろうと思いました。自分の心の中で」

信頼である。感謝である。『マネジメント』にはこうある。

〈人は最大の資産である〉

（文中一部敬称略）