古河は慶大卒業後、将来性にひかれて「ものづくり」の日本ゼオンに就職した。興味深い出来事が3つある。

1つが、入社数年目の塩化ビニルの営業時代のことだ。日本ゼオンは樹脂の配合剤に鉛が使えなくなるため、新製品を開発していた。良質の代替品が出来上がり、古河は自信を持って得意先を訪ねた。が売り込みは失敗する。担当者に言われた。「他の会社の製品に決めた。もう少し早ければ……」と。