「粗食は健康」「歩けば安心」は本当か。年齢を重ねた体には、現役時代とは逆の常識が必要だ。入院せずに自立して生きる知恵を専門家に聞いた。
老年医学の専門医が教える「寝込まない人の習慣」
生活習慣 ひとり暮らしの高齢者は「肥満」より「低栄養」に注意

「粗食=ヘルシー」は大きな勘違い

加齢によって心身が弱り、要介護の一歩手前まで来ている状態を「フレイル」と呼びます。このフレイルを予防するには何が有効なのか。答えは「運動と栄養」の2つに尽きます。あまりにも地味な答えでガッカリされたかもしれませんが、実はこの地味な答えが現役世代の健康観とは正反対の方向を向いていることに、多くの人が気づいていません。

高齢者によく見られるのが、仕事を引退した途端に本格的な食事制限を始めてしまう人です。現役時代にさんざん「痩せろ」「メタボに気をつけろ」と言われ続けてきたせいでしょう。その刷り込みが強すぎて、70歳を過ぎてもなお「ダイエット」にこだわり続けてしまうのです。

そのなかには、「粗食のほうが健康にいい」と信じている人も少なくありません。肉類を避け、野菜とコメを中心にした食生活を励行している。ご本人としては健康的なつもりなのですが、実際には全体の栄養量が足りていないケースが非常に多く、とりわけタンパク質が相対的に不足していることがほとんどです。

(構成=本誌編集部)