安心して最期を迎えられる場所を、どう見定めるか。「持ち家が重荷になることもある」と専門家は言う。多くの選択肢の中からベストな住居を選ぶ方法は――。

最期まで自宅に住むには「お金」と「人」が必要

【岡本】持ち家に住み続けるべきか、それとも施設に入居したほうがいいのか。状況は一人一人違うので、一概には言えません。ただ、一般論としては、①子どもがいない、②親族と遠く離れたひとり暮らし、③病気を持っている、のいずれかに該当する人は、施設に入居したほうがよい結果になるケースが多いです。これらに該当しなくても、今の生活に何らかの心配事を抱えているシニアは、施設に住み替えることで精神的な負担の軽減が期待できます。

最期まで自宅での生活が成り立つかどうかは、突き詰めると「お金」と「人」の問題です。自宅で全面的な医療と介護を受けるための環境を整えるには、結果的に施設に入るよりもお金がかかる場合があります。十分な資産や収入があり、いざというときに頼れる人もいるのなら、自宅で暮らし続けても大きな問題は起きにくいでしょう。半面、どちらかに不安があるなら、住み替え検討したほうがよいと思います。

年齢で言えば、60代半ばあたりが、住み替えを検討するファーストチャンスです。「まだまだ若いのに」と思う方もいるかもしれませんが、高齢者向けの住宅や施設は種類も数も非常に多く、しかも一軒一軒、中身がまるで違います。介護という将来が目の前に迫ってからではなく、早いうちに選択肢だけは知っておいて損はありません。

これから老後の住まいを考える方にぜひ知っていただきたいのが、人にはそれぞれ事情に応じて、「住み替えに適した時期」があるということ。本格的な介護が必要になってからで十分という人がいる一方、60代のうちから施設に住み替えてよかったという人もいます。同様に、高齢者住宅・施設の側も、それぞれ「どの時期の人を入居対象としているか」が違います。そこがマッチングしないといい住み替えは実現しませんから、まずは自分の「住み替え適齢期」を知ることが第一歩です。

では、どうやって適齢期を見定めるのか。最初に今の自宅での暮らしを客観的に評価することです。具体的には次の5つの項目を見ていきます。

1つ目は、自宅の住宅形態。多くの戸建て住宅には足腰が弱ると使いにくい部分があり、転倒リスクが伴います。

2つ目は、周囲の生活環境。交通や、買い物の便がいいかどうか。

3つ目は医療・介護の環境。要介護になっても頼れる、自分に合った医療機関や介護事業所が近くにあるか。

4つ目は家族事情。何かあったときに頼れる子どもや親族が近くにいるか。どれだけ時間を割いて関わってくれそうか――この1〜4で「自宅生活の限界期」を見定めます。

最後に5つ目は資金状況。住み替えるための十分な資金を用意できるか。自宅に住み続ける場合も、そこで24時間の見守りや介護を受けるための費用は工面できるか。これらの5項目について、それぞれ5段階で評価すると、自分に何が足りないのかが見えてきて、その解決策を考えながら住み替えの検討を進めることができます。

(構成=堀尾大悟)