ある日突然、自宅で倒れて動けなくなったら――。これは決して他人事ではない。遠距離介護14年の介護作家が、その経験から見出した安くて確実な「見守り家電・サービス」を5つ紹介する。

「老い」をなめていないか 見守りの「備え」が最重要

老いをなめている――。

私は14年にわたる介護生活の中で、実の親が老いて、徐々に自分のことができなくなっていく様を見続けてきました。そんな私からすると「自分はまだまだ大丈夫」といった根拠のない自信を持つ人は、老いというものをなめているとしか思えません。

工藤広伸さん
工藤広伸 Hironobu Kudo
介護作家・ブロガー。東京と岩手を行き来し、認知症の母の遠距離介護を14年間続けながら、仕事と両立させている。ブログ「40歳からの遠距離介護」を運営。『がんばりすぎずに しれっと認知症介護』(新日本出版社)など著書多数。

ある日突然、脳血管疾患や心疾患、不意の転倒による骨折などで身動きも通報もできなくなる。こういった話は珍しくありません。そして、いざそうなると地域の医療や介護のセーフティネットだけでは対応しきれないのです。公共の福祉や家族・親戚に頼る前段階として、「万が一のとき、外部へ異変が伝わる環境や体制」を整え、自分で生活に組み込んでおくことが大切です。

ただ、無数にある見守りアイテムや民間サービスの中から何を選べばいいのか、最初は見当もつかないはず。また、老後資金が限られている以上、見守りだけにお金をかけるわけにもいきません。求められるのはコストパフォーマンスが高く実用的なものです。

そこで、倒れたときに連絡を受けて動いてくれる人(離れて暮らす親族や友人、民間業者、行政)の有無に応じた、見守り家電・サービスをご紹介します。

生活を見られるのはイヤ そんな人は人感センサー

①遠くの親族や友人に気づいてもらう「人感センサー FP2」(Aqara)

いくら信頼している親族や友人であっても、「普段のプライベートな生活空間をカメラで見られるのは嫌だ」と拒否反応を持つのは当然の心理です。そこで最も心理的ハードルが低いのが人感センサーによる生存確認です。

従来型の「赤外線センサー」は動いている物体を検知するため、日射やカーテンの揺れまで検知してしまうことが最大の欠点でした。そんな欠点を克服したのが、自動運転にも使われるミリ波レーダー技術を搭載したAqara(アカラ)の「人感センサー FP2」。対象が全く動いていなくても、室内に人がいることを正確に捉え続けます。万が一室内で転倒し、意識を失って動けない状態になっても、正確に検知して、外部のスマホアプリへアラートを飛ばしてくれるので安心です。

②緊急時に状況を正しく把握する見守りカメラ「Eufy Indoor Cam 2K Pan& Tilt」(Anker)

もしものときに遠方の親族や友人に動いてもらう場合、センサーの数値だけでは「本当に倒れているのか、単なる通信エラーか」がわからず、受け取った相手も119番通報すべきか躊躇します。外部の人間が「いま部屋の中で何が起きているのか」を瞬時に視覚的に確認し、即座に救急車を手配できる判断材料が必要です。

そこをクリアするのが、アンカーの見守りカメラ「Eufy Indoor Cam 2K Pan & Tilt」。数千円で購入できる低価格ながら、高画質な映像をリアルタイムで確認できます。

このカメラの存在は、単なる安否確認を超えて「防犯」面でも威力を発揮します。例えば強引な訪問販売員が現れた際、カメラ越しにその様子をリアルタイムで確認することができるのです。また、昨今多発している災害時、特に夜間の大地震の際にも無二の力を発揮します。倒壊や家具の下敷きになっていないかを、遠方の人がスマホをタップするだけで、わずか30秒で目視確認できる安心感は計り知れません。

(構成=篠原克周)