大地震が襲った2日後、3月13日午後4時過ぎ――。イタバシニット社長の吉田康宏は社員1人を伴い、東京・渋谷の本社から縫製工場のある宮城県気仙沼を目指して、車を出発させた。途中、浦和の自宅で妻を乗せ、国道4号線を北へ北へと向かう。妻を同乗させたのは、「運転手が3人いれば、どんな大渋滞にぶつかっても大丈夫」と考えたからだ。
車は日産の高級車フーガ。車内には、溢れんばかりの救援物資が積み込まれている。食料品、水、携帯用のガスコンロ、使い捨てカイロ、トイレットペーパー、毛布。さらに、妻が用意した段ボール1箱分の生理用品もあった。気仙沼工場の従業員は130人、そのほとんどが女性なのだ。
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