新型コロナの感染拡大が報じられる中、「大変だ。命を大切に」「大したことなし。経済を回せ」という2つの相いれぬ見立てが摩擦を生んでいる。
再度の緊急事態宣言はやむを得ないのか、「過度の対応」なのか? ※写真はイメージです
写真=PIXTA/YNS
再度の緊急事態宣言はやむを得ないのか、「過度の対応」なのか? ※写真はイメージです

「感染者数増」で社会全体のストレスは再び上昇

東京都をはじめ全国で感染者数の増加が確認され、社会全体のストレスは再び上昇している。「正しく怖がろう」とは、今回の新型コロナ禍が始まった当初、声高にいわれた戒めだった。それからほぼ半年が経過した今、虚実ないまぜのコロナ情報があふれ返っている現在は、「正しく怖がる」前提である「正確な情報、正しい見立て」がいったいどれかの判別がつかず、かえって混迷が深まっているようだ。

もっとも、世界中の誰にとっても未知の体験であり、あらかじめ用意された正しい情報などどこにもない。そのおかげで、新聞・テレビ・雑誌といった既存メディアやインターネット・SNSに至るまで、同じか類似の見解を持つ人々が入った“タコツボ”のすぐ横に、まるで違う見解を持つ人々の“タコツボ”が並んでいる感がある。しかも互いに隣の“タコツボ”の存在に気づかないか、気づいてもはなから拒絶して、自分のいる“タコツボ”から動こうとしない。一度固まった思考の枠を変えるのは苦痛だし、容易ではないからだ。

これら“タコツボ”のうち主だったものをピックアップすると、「大変だ。ニューヨークのように人がバタバタ死ぬかもしれない。命を守るために自粛しろ」という切迫感を持つ人々と、「経済を回さなくてどうする。死者の少ないコロナは、インフルエンザと変わらない」と楽観視する人々との2派が目立つ。