陽性者は厳密な死因を問わず「コロナによる死者」に

さて、こうして見ると、個人目線で部分最適のみを見るA派と、大局を見て全体最適を目指すB派が相いれないのは当然だが、実際にコロナ禍と向き合いながら社会生活を営む実務者にとっては、一見冷酷なB派の視点がどうしても必要となろう。ひとまずは、感染者数のグラフとともに急上昇している国内社会のストレスと向き合い、「経済と命」のバランスをどう取るかが喫緊の課題となる。「手洗い・うがい」等々、個々人がやるべきことは年初からここまで変わることはないが、重症者数・死亡者数に大きな変化が見られぬ現段階で、再度の緊急事態宣言入りに、政府が踏み切るのは妥当なのだろうか。

死亡者数と感染者数との関連性は、どんどんなくなっている

ロックダウンを行わない新型コロナ対処法が、国内外で議論を巻き起こしたスウェーデンでは現在、1日あたりのコロナ感染者・死亡者数は激減している。陣頭指揮を執ったアンデース・テグネル氏は7月24日、夏季休暇後のインタビューで、多数の死者を出した失敗は認めつつも、その原因は「同国の死亡者のカウントの仕方が他国より厳しいことと、同国の介護施設特有の原因があり、そこは改善済み」とした。

氏はさらに、「死亡者数に関係するのは、感染者の世代、老人施設での防御、医療システムが機能しているか否か。感染者数そのものとの関連性はどんどんなくなっている」「最終的には、感染者致死率(IFR=Infection Fatality Rate)は0.1%と0.5%の間。毎年のインフルエンザと根本的な差異はないと思っている」とコメントしている(UnHerd7月24日付)。

そのスウェーデン公衆衛生局と隣国フィンランドの共同報告では、小学校をずっとオープンにし続けたスウェーデンと、ロックダウンと一時閉鎖を行ったフィンランド双方の小学生の感染例を比較。「学校の閉鎖の有無と双方の症例数に直積的な影響はなかった」と結論付け、「閉鎖は利益よりも悪影響のほうが大きい」と述べている(ロイター7月16日付)。

言うまでもなく、ロックダウンや自粛の可否については、他国の事例だけで可否を判断できるわけではない。しかし、妥当とは言いかねる連日の報道に押されて、日本はあたかも「緊急事態宣言」ありきで一斉に走り出しかねないように見える。そんな中で経済活動の継続を言い続けるのは胆力のいる決断だが、流れに任せずに、経済と命のバランスの最適解を見つける努力だけは怠ってほしくない。

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