就活の潮目が変わったのに気づかない学生の末路
2021年卒の採用活動は、新型コロナウイルスの感染拡大と「緊急事態宣言」の発出により、4月以降完全にストップした。大企業を中心にウェブ面接に切り替える企業も登場したが、例年に比べて内定出しも遅れている。
昨年の6月1日時点の就職内定率は70.3%だったが、今年は56.9%と少ない(リクルートキャリア調査)。
もちろん緊急事態宣言の混乱の影響もあるが、コロナショックによる業績悪化の影響も無視できないだろう。
朝日新聞の「全国主要100社アンケート」(6月23日)によると「コロナの影響で2021年春の新卒者の採用計画を見直すか」という質問への回答はこうなっている。
「不変(見直ししない)」:68社
「未定」:17社
「採用数を減らす」:10社
「その他」:4社
「増やす」:0社
すでに大企業の選考活動は終盤にさしかかっているのに「採用減」「未定」を含む企業が27社もあるというのは異例の事態である。
仮に当初予定の採用数を減らすということになると、昨年なら内定を得ていただろう学生を不合格にすることになる。毎年数百人規模を採用している不動産業の人事部長は胸の内をこう明かす。
「21年卒の採用数を最終的にどうするか、現時点ではペンディングになっている。会社の業績は4~5月の受注は確かに減少しているが、今後の状況がどうなるのか経営陣にも読み切れていない。しかし7月中には結論を出さないといけない。個人的には予定通りの採用数になると思う。ただし、例年のように内定辞退が出ても、2次募集や秋採用をしないで減る分にはかまわないというスタンスで臨むことになるのではないか」
こうした動きを見ているとコロナショックを契機に明らかに就活の潮目が変わりつつある。つまりアベノミクスの影響で長らく続いた「売り手市場」から「買い手市場」への転換だ。
2020年卒の新卒求人倍率は1.83倍と、間違いなく売り手市場だった。新型コロナウイルスが問題になる前は売り手市場が続くと言われ、求人倍率も1.8を維持するか、下がっても1.7台後半とみられていた。だが、コロナの影響で状況はガラリと変わった。
すでにその兆候は採用面接でも表れている。