2022年卒の採用数は21年卒よりも確実に減る

そして人事担当者が口をそろえて言うのは、2022年卒の採用数は21年卒よりも確実に減るということだ。

前出サービス業の会社の経営会議では一部の役員から「当初予定の半数に削減するべきだ」という意見も挙がっているという。「今のところ採用予定数をどうするかは決めていない。景気がさらに落ち込むと減らす可能性が高い」(人事部長)。

前出の不動産業の人事部長はこう言い切る。

「22年卒は圧倒的に厳しくなるのは間違いない。会社もその方向で検討しているが、場合によっては半減する可能性もある。新型コロナウイルスの感染拡大の第2波、第3波の襲来が叫ばれるなかで、ワクチンも1年や2年でできるかわからない。もちろん東京オリンピックも中止という前提でわれわれは先を見ている」

同社はリーマン・ショックの不況時に新卒採用数を半分以下に減らしている。当時と同規模になってもおかしくないという認識を持っている。

リーマン・ショックの不況以上に新卒採用数減は十分ありうる

確かに直近の経済危機ではリーマン・ショック時の採用と比較する向きが多い。あのときもそれまで売り手市場から買い手市場に一転した。

2008年9月に発生したリーマン・ブラザーズの破綻を契機に始まった金融危機のときは、すでに09年度入社の採用活動がほぼ終わっていた。

09年度入社の新卒求人倍率は2倍を超えていたが、10年度入社は1.62倍に低下(リクルートワークス研究所調査)。大卒採用計画数も09年入社の実績に比べて19.6%も減少した。

人物のシルエットが描かれたジグソーパズル
写真=iStock.com/tadamichi
※写真はイメージです

09年卒と10年卒の変化について、2009年9月に取材した流通業の人事担当者がこう語っていたのが印象的だった。

「前年(08年)までは学生の完全な売り手市場だったが、今年(09年)に入ってもっと深刻になり、就職氷河期の再来というかそれ以上だ。去年は学生のみならず大学のキャリアセンターの職員も企業に対してふんぞり返っていた部分もあったし、黙っていてもうちの学生はどこかの大手に入れると高をくくっていた。ところが、そんな楽観ムードがガラリと変わった。当社がターゲットにしている首都圏の中位校クラスの大学の就職担当者に聞いたところ、8月下旬段階の文系男子の内定率は昨年8割を超えていたが、今年は6割程度と言っていた。女子学生にいたっては5割に遠く及ばない状況であり、相当に深刻だった」

実際に、早稲田大学の10年春卒の就職希望者の内定保有率は7~8割にとどまり、第1志望の企業から内定をもらった学生は少ないと報じられた(『日本経済新聞』09年10月5日朝刊)。

しかも買い手市場は10年度卒で終わりではなかった。当時、大手建材メーカーの人事担当者は「09年卒は450人、10年卒は350人。業績が回復しなければ11年卒は200人程度になる可能性もある」と言っていた。

そしてそれは現実のものとなる。11年卒の求人倍率は1.28倍に低下し、12年卒はさらに1.23倍に低下している。2011年3月には東日本大震災が発生したが、今回と同じように採用活動が1カ月程度ストップしている。