人事部が目をつけている「コロナリストラ」候補者の特徴
大手企業の業績悪化が顕著になり、本格的なリストラの足音が聞こえ始めている。
日本の基幹産業の自動車大手の2020年3月期決算はコロナショックの影響で5社が営業減益、日産自動車は6712億円の赤字に転落した。
自動車各社は今年度も景気悪化を予測し、生産台数を大幅に減らす計画であり、関連産業や中小企業への影響は必至の情勢だ。
企業は業績が悪化、あるいは悪化が見込まれると固定費の削減に動き出す。
固定費で最も大きいのが人件費であるが、最初に手をつけるのが雇用の調整弁といわれる派遣、パート、契約社員などの非正規の雇い止めだ。また、同時並行的に新規採用の縮小も行う。それでもなお業績悪化が止まらず、先行きの見通しが暗い場合は事業の閉鎖・縮小と一緒に正社員のリストラに乗り出す。
では今はどのような状況なのだろうか。
すでに非正規社員を中心に解雇や雇い止めは増加している。厚生労働省の調査では5月28日時点の全国の解雇や雇い止めは1万5823人。4月27日時点は3391人だったが、5月だけで1万人以上も増えた。
また4月の有効求人倍率は1.32倍に下がり、2016年3月以来の低水準に落ち込んだ。4月の失業率は2.6%。3月の2.5%より0.1ポイント悪化した。
コロナ被害を受けているのは現状は非正規社員だが……
しかしこれはまだ序の口にすぎない。
総務省の「就業者及び休業者の内訳」(5月29日)によると、4月の休業者数は597万人。3月の249万人から300万人以上も増加し、前年同月と比べても420万人増と突出している。このうち雇用者が516万人。つまりコロナの影響などで休業を強いられている人たちであり、解雇されずになんとか踏みとどまっている人たちでもある。このうち最も多いのはパート、アルバイトなどの非正規社員の300万人だ。これに対して正社員は193万人と少ない。
コロナの直接の影響を受けた観光・宿泊・旅行・飲食・小売業に多く従事する非正規の割合が大きいが、正社員は今のところ軽微といえるだろう。
しかし、今後国内消費が減少し、自動車産業を中心とする輸出産業の世界的な需要不足による第2波が直撃することは専門家の一致した見方だ。実際に不安を隠せない大企業の経営者も多い。
『日本経済新聞』の大手企業の「社長100人アンケート」(2020年6月1日付け朝刊)によると、緊急事態宣言解除後の懸念として、自社の「資金繰り」(15.9%)、「取引先の倒産」(28.0%)、「売掛債権の回収」(15.2%)を挙げている。積み上げた内部留保があるとはいえ、先行きに不安を感じている。