映画デビュー作で絶賛され、以後もキャリアを重ねて世の男性の人気を着実に増やし続ける元・宝塚主演娘役の素顔は……。
感染症対策のプロというタフな役回り
挨拶の後、ソファの端にきちんと腰掛けた檀れいさん。プレジデント誌が質問するたび、何度も頷きながらその主旨を探るように、低いテーブル越しにじっとこちらを見つめた。
「逃げるのは嫌いなんです。私はどうにかしなければ、どうにかしよう、と努力するタイプだと思っています。もちろん逃げるべきとき、というのもあるとは思うんですけれど……」
ゆっくりと間をおきながら、熟考しつつ言葉を選んでゆく。
「逃げるくらいなら、最初からチョイスしなければいい。自分で選択したのに『やっぱり嫌だなあ』と放り出すのはただの無責任だと思います。今の自分にとって本当に必要なものかどうか、最初に選択するときによく考えますね」
宝塚歌劇団月組・星組の主演娘役を務め、退団後の2006年に『武士の一分』で映画デビュー、主人公を支える健気な妻を演じて数多くの賞を獲得した。その後も舞台やテレビドラマ、CMに活躍の場を拡げている。
4本目の映画出演となる『感染列島』(全国東宝系で公開中)で演じるのは、国連専門機関のWHO(世界保健機関)に所属するメディカルオフィサー。未知のウイルス上陸でパニックに陥った日本に派遣される感染症対策のプロ、というタフな役回りだ。
急速に数が膨れ上がる患者たちに、対症療法しか打つ手のない絶望的な現場。そこで白い防護服に身を固め、医師や看護師たちの指揮を執りつつ、時には患者の命に“優先順位”を付けることすら躊躇しない。
「普通の医師の立場ではありえない場面ですよね。でも、政府の方針としては非常事態であり、やむをえないという規則に則って行っているし、WHOの中でも最悪の場合はこういうこともありうるということを叩き込まれているでしょうし……」でも、やはりそこには一人の人間としての葛藤はあるだろう、という。