<strong>吉田都</strong>●1965年、東京都生まれ。9歳でクラシックバレエを始める。英国ロイヤルバレエスクール、サドラーズウェルズロイヤルバレエ団(現バーミンガムロイヤルバレエ団)を経て、29歳のとき英国ロイヤルバレエ団のプリンシパルに日本人女性として初めて就任。2006年、熊川哲也氏主宰のKバレエカンパニーに移籍。07年、紫綬褒章および大英帝国勲章を受章。現在はロイヤルバレエ団およびKバレエカンパニーでゲストプリンシパルとして踊っており、ロンドンと日本を行き来している。
吉田都
1965年、東京都生まれ。9歳でクラシックバレエを始める。英国ロイヤルバレエスクール、サドラーズウェルズロイヤルバレエ団(現バーミンガムロイヤルバレエ団)を経て、29歳のとき英国ロイヤルバレエ団のプリンシパルに日本人女性として初めて就任。2006年、熊川哲也氏主宰のKバレエカンパニーに移籍。07年、紫綬褒章および大英帝国勲章を受章。現在はロイヤルバレエ団およびKバレエカンパニーでゲストプリンシパルとして踊っており、ロンドンと日本を行き来している。

名門・英国ロイヤルバレエ団で長くプリンシパル(最高位)の座にあり、「英国の至宝」と称されてきた。「舞台に立つだけで、空気が変わる」といわれる彼女は、トップの矜持を保ちながら驚くほど“普通の感覚”を持ち合わせていた――。

スポーツにたとえるなら、野茂英雄とイチローと中田英寿を足して3で割ったような人物ということになろう。それほどまでに、吉田都という名前は日本のバレエ界にとって特別な重みがある。

その経歴を見れば、彼女の実力は一目瞭然だ。17歳で渡英し、世界三大バレエ団の1つである英国ロイヤルバレエ団にて、日本人女性初のプリンシパル(主役を務める最高位のダンサー)に就任。現在は日本のKバレエカンパニーおよびロイヤルバレエ団のゲストプリンシパルを務める。「紫綬褒章」「大英帝国勲章」など、輝いた栄誉の数は限りない。故ダイアナ妃やエリザベス女王など、英国王室の面々の喝采を博し続けるが、当の本人にはその実感がない。

「私にとって、バレエは仕事です。来場されたお客様に喜んでいただけるように、ひたすらお稽古、リハーサル。あっという間にときが流れていきます」

たった1つの椅子しかないロイヤルバレエ団の主役となれば、その競争は苛烈だ。練習の末に勝ち取った主役の座も、1度怪我をすればたちまち代役を立てられてしまう。舞台の主役であり続けるために少しでも練習したい。しかし、やりすぎて体を壊しては元も子もない……。