デビュー40周年。浮沈の激しい業界でトップの座に輝き続ける和田アキ子。その生き残りの秘訣とは何なのか。「芸能界のご意見番」の素顔に迫った。
和田アキ子。1950年生まれ。
デビューしたのは18歳で、曲は「星空の孤独」。以来、40年、彼女は人気を落とすことなく、音楽活動、テレビの司会、コマーシャルやドラマへの出演などといったさまざまなジャンルで活躍している。浮き沈みの激しい芸能界では稀有なことだ。
デビュー40周年を記念して、全国ツアーや半生をドラマ化したテレビ番組が放映されたが、本人がもっとも嬉しかったのはニューヨークのアポロシアターで行われた一夜限りのライブだ。同劇場の席数は1450。それに対して日本からのツアー客は40人しかいなかった。残りは在米の日本人、そして地元ニューヨークに暮らすアメリカ人だったのである。
アポロシアターは尊敬するレイ・チャールズをはじめ、数々の黒人シンガーが立った舞台だ。
和田アキ子は前日から劇場に入り、入念に音声チェックをしていた。
「アポロシアターは3階席まであります。私はスタッフに客席に散らばってもらい、声の聞こえ具合を確かめました。そうしたら、何度うたっても、日本のホールよりも残響が多いから、そのままの状態では後ろのお客さんには私の歌が聞こえなくなってしまう。ただし、音響をいじるのは最小限にしました。空の劇場だと残響が多いけれど、満員になるとお客さんが音を吸収する。例えば冬の場合は、厚手の服を着ているから余計に音を吸うもの。リハーサルっていうのは自分の歌声を確かめるだけじゃない。客席の埋まり具合を考えながら、その日の音の出し方を決める作業なんです」
彼女のこの言葉には、「自分はプロの歌手としてちゃんと準備をしている」というプライド、そして「私のコンサートはつねに満席だ」という自負が感じられる。確かに、歌唱力がある、とかヒット曲を3~4曲持っている程度では長年、芸能界の第一線にいることはできないだろう。コンサート会場をつねに満席にするくらいの動員力がなくては人気商売は続かない。
彼女に尋ねた。
「芸能界で長く生き残るのに必要なことは何ですか」と。