――“男の遊び”というものは、つぎ込む金の額や、規模の大きさを楽しむものではない。自分が好きなことに賭ける情熱や思いの大きさを楽しむものだ。
「30代に入って間もなくだった。めっちゃ仕事に追われていた毎日を、ふと振り返ったとき『俺は何かを勘違いして、間違ったところに向かっているんじゃないか』って思ったんだ。デビューしてから新幹線のように突っ走ってきたけど、各駅停車に乗っていれば、もっといろいろな景色や、たくさんの人との出会いもあったんじゃないかとね。で、これからは貧乏してもいいから、自分の時間をもっと持とうと思ったんだ」
俳優・岩城滉一、56歳。年齢を重ねるごとに渋みを増し、男っぽさと、独自の雰囲気を持つ二枚目俳優として評価される一方で、遊び心を追求するライフスタイルも「カッコいい男」として注目を浴びている。
「スカウトされてこの世界に入り、俺自身が俳優としての自覚がないうちに世間に認知されて、そのまま30代にきちゃったんだね。実を言うと俺は俳優という仕事はあまり好きじゃないのよ(笑)。だから、俳優だけでは自分の人生が完結できないと思ったんだ。でも、それで良かったと思うよ。役者が好きだったら、仕事が趣味になっちゃうもんな」
だから、岩城にとっての俳優という仕事は、あくまでも生活の手段であり、一番大切な家族を養い、そして、楽しい人生を過ごすためにする“お仕事”だというのだ。
「愛する者を守り、好きなことをやるためだからこそ、嫌な仕事を一生懸命やるんだよ。で、遊ぶときは本気で遊び、真剣に遊び、徹底して遊ぶことだと思う。中途半端は遊びじゃない。俺は好奇心旺盛で考えるより、とりあえず行動するタイプ。まあ、3日坊主なんだ。でも、3日で好きか嫌いかわかればいいんじゃないかと思っているよ(笑)」