外出自粛の呼びかけが続くなかで、飲み会を「オンライン」で行う人たちが増えている。自らもオンライン飲み会に興じる落語家・立川談慶さんは「オンライン飲み会は慣れないうちは疲れる。しかし、それは己を磨くチャンスでもある」という——。
昔から日本人は厳しい環境を利用するのがうまかった
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための「緊急事態宣言」から、早くも1カ月以上がたちました。外出自粛が求められる過酷な環境下でも、なんとかやりくりをして現実との接点を見いだそうとみなさん必死であります。
一部の落語家も、ユーチューブでの配信を開始しました。本来はお客さんを前にしてやるべき芸能なのに、「無観客」という慣れない条件をのむ格好で、涙ぐましく活路を見いだそうとしています。
いや、落語家だけではありません。やはり生のお客さんありきの外食産業も同様でしょう。甚大なる痛手を食らいながらも、テイクアウトやデリバリーやら、今まで手を染めることのなかった業態に知恵を振り絞って取り組んでいます。
私の行きつけの西川口の和食店でも、おいしい磯魚料理のテイクアウトを始め、本来ならばお店に行かなければご相伴に預かることができなかった自慢の刺し盛りを、先日は一家4人で味わうことができました。思わぬコロナ禍の恩恵を家族みんなで楽しんだものです。
そういえば、かつて子供用自転車が普及していなかった時代には、いわゆる「三角乗り」がはやったことがあります。大人用自転車に跨り、サドルに腰掛けず三角のフレーム部分にむりやり斜めに身体を合わせて、立ち漕ぎするスタイルです。
こうした幼少期の風景を顧みても、日本人は厳しい環境を上手に処理するすべに長けているのかもしれません。