あんパン、カツカレーが生まれた理由

この「三角乗り」は、昨今の「オンライン飲み会」に似ているのではないでしょうか。

無論、Zoomなどを用いたオンライン飲み会は、日本で始まったものではないはずです。しかし、「気の置けない人たちと飲みたい」という欲求と、外出自粛、自宅待機という過酷な現実との妥協点をうまい具合に結び付けているという点では、非常に日本人的な匂いを感じるのです。

妥協とは、調和でもあります。砂糖醤油のバランス、あんパンやカツカレーを生む精神性など、日本人は調和力に秀でた国民なのかもしれません。

この国が発展してきたのも、長年継続してきた伝統文化を重んじながらも、海外由来の新しい文化を、拒絶せず上手に取り込む風土があったからこそでしょう。和とは「調和」の和でもあり、「和み」でもあります。

以前、宗教学者の釈徹宗先生と対談させていただいた際、土着の宗教に外来宗教である仏教がうまい具合になじんだからこそ、日本人には原理主義が発生しにくいのではという卓見に触れました。

外出自粛の中、そんな釈先生を交えてのオンライン飲み会を私も含めて数回やりました。そこで得た知見から、これからは「こんな作法が必要なのかも」という展望をいくつか述べてみたいと思います。

オンライン飲み会にある最大のメリット

まず、オンライン飲み会のメリットは、「飲食代金が節約でき交通費がかからない」点でしょう。自分の好きな飲み物とつまみを用意すればよく、お酒の飲めない人でも肩身の狭い思いをしなくて済みます。飲めない側としては、「アルコールを一滴も飲んでいないのに割り勘かよ」という釈然としない思いに駆られることもありません。

また、平成の前半頃までは、「上司や先輩から勧められた酒は断っちゃいけない」という昭和の風潮が、確かに残っていました。オンライン飲み会なら、この心配も無用です。これらの意味を踏まえると、「飲み会への敷居が低くなる」というメリットも挙げられます。

さらに家で飲むということは、「終電の心配がない」ことを意味します。空間を共有できないのはネックかもしれませんが、その代わりに「時間の共有ができる」。ここが一番のメリットだと思います。まだまだ続きそうなコロナへの不安が、パソコンやスマホの画面を通して時間を共有し合うことで和らぐのは、本当にありがたいものです。

そんな気持ちがあるからでしょうか、例えば「10人で企画した飲み会で、3人だけのメンバーで盛り上がった」みたいなオフラインでは起こり得る事例は発生しにくいのかもしれません。これは誰もが同じ画面に同列に映し出されているがゆえの効果でしょう。