ボードゲーム競技という「勝負の世界」で勝ち続ける人は、なぜ勝てるのか。矢澤亜希子さんは日本人で初めて「バックギャモン」の世界王者に2度輝いた。矢澤さんは「運だけでは絶対に勝てない。大切なのは、勝つための準備」という——。

※本稿は、矢澤亜希子『運を加速させる習慣』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。

バックギャモンの盤とサイコロ
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勝負に「流れ」など存在しない

テレビで野球やサッカーの試合を見ていると、実況や解説のなかで「流れ」という言葉がよく出てきます。誰かのエラーやミスによって試合の流れが変わったとか、途中から交代した選手の活躍で流れを引き寄せたなどといわれると、たしかに試合展開の潮目が変わったように感じられる瞬間があって、それまで劣勢だったチームが逆転したり、勝利を目前にしていたチームに信じられないようなミスが続いたりします。

でも、実際のところ、試合展開に流れなどあるのでしょうか。勝利の女神が、どちらか一方から運を移し替えるようなことが、本当にあるのでしょうか。

「流れ」という言葉をどのような概念でとらえるかにもよりますが、身もふたもないことをいうと、私は勝負において流れなど存在しないと思っています。流れとはとても曖昧で便利な言葉なので、わからないことを流れで片づけしまいたくなる気持ちには共感できます。しかし、ものごとには大なり小なり原因があります。

突然起こった思いがけない出来事のように感じても、実は小さな積み重ねがあります。流れのように感じられても、それは自分が作り出した幻想で、流れで片づけているうちは目の前にある運にも気づかず、ましてや運をつかむことなどできない、と私は考えています。