若い世代はパブリックな場に電話する機会がなかった
また、若い世代であればあるほど、携帯電話同士の会話、つまり個人間の会話しか知らないため、会社や他人の家といったパブリックな場に電話する機会がないという点も見逃せません。
昔は友達に電話をするにも、直接繋がることはできませんでした。まず相手の家にかけて、友達の家族が出てきて気まずい思いをしたことはありませんか? このやりとりで失敗して、電話に関するメンタルが鍛えられた方も多いはずです。
若い世代はこうした過程を経ていないため、われわれより固定電話に対する苦手意識があります。ましてや、社会人としての振る舞いが求められるならなおさらです。
面倒かもしれませんが、新人たちの恐怖心を取り除き、応対の仕方を教え、できたら褒めてあげる。それにより、彼らは安心し、自信がつき、さらには「会社で電話に出ることが周囲の人たちの役に立っている」ということを励みに邁進していくことでしょう。これも、社内コミュニケーションのひとつとして、楽しみながら取り組んでいただけたらと思います。
外出できない今は練習のチャンス
非常時になりつつあり、外出が思うようにできない昨今ですが、逆を言えば何かを学んだり、練習するのに絶好の機会でもあります。新人や若手の人たちは、オフィスで固定電話をとる練習を、今自宅でできるのです。
目の前に鏡を置き、電話が鳴ったときをイメージして、感じのよい表情を鏡で確認しながら、明るい声のトーンで「はい! ○○○○(会社名)の××でございます!」と言うトレーニングをするもよし。先輩が電話をかけて、マンツーマンの電話応対レッスンをして差し上げるもよし。
電話は声だけのコミュニケーションですが、良い声のトーンを出すには、良い表情は欠かせません。ほほ笑みの表情は、ほほ笑みの声となってあらわれます。笑顔は、体内でがん細胞を破壊するナチュラルキラー細胞(NK細胞)を増やす効果もあります。つまり、良い声のトーンで電話に出ることは、免疫力を高め、あなたの体も守ることにも繋がります。
ここまで読んでいただいたあなたなら、もし身近に固定電話に出るのが怖いという部下や後輩がいても、理由はもう理解できたはずです。
あとは彼らに出てほしい理由を説明し、加えて、「自身の健康を守るためにも、恐怖心などのネガティブな感情とはおさらばしよう」と伝えるだけで、不安は軽減することでしょう。しっかりと説明を行うことも、ビジネスマナーのひとつなのです。彼らとともにビジネスマナー、ビジネス電話を楽しみましょう!