新入社員が電話に出ない2つの理由

6年くらい前から、企業の管理職クラスの方々の「最近の若者は電話が鳴っても出ない」という相談が増えました。

それなら、「電話に出てください、と言えばいいのでは?」と思うことでしょう。最初は私もそう返しました。

すると、皆さん同様にこうおっしゃるのです。

「それが、言っているんです……。しかし、そう言うと『どうして私が電話に出なきゃいけないんですか? 他の人が出ればいいんじゃないんですか?』と言われてしまうんです……」。

入社直後の電話応対研修では、あんなに熱心だった新入社員たちが、なぜ電話に出なくなってしまったのでしょう?

そこで、企業のコンサルティングを行う中で、そうした若者たちの考えを伺ってみると、大きく2つのタイプに分類できました。

一つ目は、「うまく電話応対ができないから」というもの。

「恥ずかしい」「会社に迷惑をかけてしまうから」などの理由から電話に出ないという“ちょい勘違い”タイプ。

二つ目は、「面倒臭い」「固定電話に出たことがないから」といった“完全自己中”タイプ。

これら二つのタイプの原因は、一見異なるように見えますが、実は根底は同じ。どちらも「電話に出るのが怖い」という恐怖の感情が根づいているのです。

「テレワークだから電話はいらない」といえるのか

さらに、新型コロナウイルスの問題が発生し、テレワークが増えている現在は、「テレワークの時代だから、そもそも電話に出なくても仕事はできますよね」との声もあります。

確かに、現在のビジネスにおけるコミュニケーションツールは、Eメールが主軸になりました。なので、このように言われてしまうと、上司や先輩たちは返す言葉が出てきません。

その一方で、テレワークになったからこそ、社内外問わず電話を行う機会も生まれます。そこで企業としては、電話応対の仕方をしっかり身につけてもらう必要があると考え、リモート型にしてまでも研修を行いたいのです。

また、企業の大きさ、職種に関係なく、こんな意見を寄せられます。テレワークでも社内の人たちとのコミュニケーションは、WEB会議やビジネス用のSNSでなんとかできるが、社外の人たちとは、相手の環境の問題もあるので、なかなかコミュニケーションがとりにくく困っている、とのこと。

こうした状況は、電話ができるようになるだけでほぼ解決します。考えてみてください。以前は、Eメールも、WEB会議もなかったわけです。それでも電話があれば仕事はできていたのですから、まずは、できることを考えてみましょう。