電話応対は「第二の受付」

例えば、メールで送った資料を見ながら、電話でコミュニケーションをとる。あるいはお取引先と互いに了承の上、LINEでのグループ通話を行うといった具合です。

その時、相手がやる気のないような声のトーンであったり、たどたどしく、不安にさせるような応対をされると、「この会社はダメだな」という印象を与えてしまいます。

つまり、電話応対はその会社のイメージを植え付け、かつ、業績の判断基準にもなるほどに、大変重要なものなのです。

電話応対は、今でも「第二の受付」と呼べるくらい、重要な位置にあるのです。

このことを上司や先輩の方々が、若手の皆さんに納得のいくよう、説明することができているか。そこが彼らの電話恐怖症を克服するキーポイントとなります。

私は、マナーの定義を「相手の立場に立つこと」としています。その相手とは、人だけではありません。製品といった物や、電話や机などの什器備品も含めます。

その相手が喜ぶこと、満足すること、心や気持ちが温まることを想像する。そして、それを言葉や行動、物などの形で表現し、伝えること。これがマナーです。

理由を教えてあげることもビジネスマナー

電話に出ない若者に「電話に出てください」といっても、なぜ出ないといけないのか理由が伝わっていなければ電話には出ません。ならば、ベテランの私たちがきちんとその理由を伝えて差し上げることも、ベテランのビジネスマナーといえます。

「え? 電話にできることは、当たり前でしょ」「そんなことまでやらなきゃいけないの?」とさまざまなご意見が聞こえてきそうですが、現代は、そこまでしなければならないのです。

「テレワーク時に、他社の方とのコミュニケーションを電話でとらなければならない時もあるから」などと、若者の立場に立ち、電話応対の重要性を納得のいくように伝えてまいりましょう。

それには、まず上司や先輩方のマナー力は必須です。まずはその視点から、彼らにとって固定電話はどのようなものなのか考えてみましょう。

2019年5月31に総務省が発表した「通信利用動向調査」のデータをもとに、日本の固定電話の保有状況を世帯ベースでまとめたガベージニュースによると、40代は約60%、50~64歳は約80%、65歳以上は85%以上の人々が固定電話を保有しています。一方、30代は26.2%、20代に至っては、なんと7.6%しか保有していません。

この数字から、若年層にとって固定電話がいかに身近なものではないことが分かります。そう、彼らにとって、固定電話は得体の知れない未知の世界のものなのです。